日本語教育能力検定試験V問題 15 消滅ショウメツ危機キキ言語ゲンゴ 【はま先生解説センセイカイセツ のんびり日本語教師ニホンゴキョウシ
  トイ1 アイヌカンする記述キジュツとして適当テキトウなものをえらべ   不正解フセイカイ
1 日本語ニホンゴオナじSOVの語順ゴジュンり、膠着語コウチャクゴである。 アイヌ語の言語類型は、日本語と同じSOVの語順を取り、抱合語だそうです。
2 日本語ニホンゴオナじSOVの語順ゴジュンり、抱合ホウゴウである。 抱合語とは、 抱き合わせた語のこと。読み方は「ほうごうご」
3 中国語チュウゴクゴオナじSVOの語順ゴジュンり、膠着語コウチャクゴである。 アイヌ語では動詞の項となる名詞(名詞句)を動詞の中に取り込んだ形になっているも
4 中国語チュウゴクゴオナじSVOの語順ゴジュンり、抱合ホウゴウである のが見られる。このような現象は一般的に「抱合」と呼ばれる。
  トイ2 アイヌ民族ミンゾク支援法シエンホウカンする記述キジュツ不適当フテキトウなものをエラ   正解セイカイ 選択肢3は明らかにおかしいです。アイヌ語は公用語ではありません。
公用語とは公の場面で使用が義務付けられている言語のことです。
1 アイヌ民族ミンゾク日本ニホン先住民センジュウミンとして明記メイキしている 公文書などではアイヌ語が用いられている事実はありません。
2 アイヌ民族ミンゾク文化ブンカ振興シンコウのための環境整備カンキョウセイビ推進スイシンしている
3 アイヌ日本ニホン公用語コウヨウゴヒトつとして明記メイキしている。 ちなみに日本は法律に公用語の記述はありませんが、日本語が事実上の公用語になってます。
4 アイヌ文化ブンカ継承ケイショウするモノ育成イクセイ推進スイシンしている。 したがって答えは3です。
  トイ3 沖縄方言オキナワホウゲンカンする記述キジュツとして適当テキトウなものをエラ     不正解フセイカイ 選択肢1
私は沖縄に住んでいましたが、沖縄の方言は独特です。東北や九州の方言とは似ていません。
1 現代ゲンダイ東北トウホク方言ホウゲンとの類似度ルイジドタカく、九州方言キュウシュウホウゲンがそれにツヅ これはおそらく方言周圏論を意識した選択肢でしょう。
2 第二次世界大戦後ダイニジセカイタイセンゴ、いわゆるヤマトグチとの混交コンコウススんでいる。
3 近代キンダイまでは口承伝達コウショウデンタツ一般的イッパンテキで、文章ブンショウ資料シリョウノコっていない。 沖縄の方言を知らない人でも日本史を勉強した人なら誤りだとわかりますね。
4 米国ベイコク統治時トウチジ英語エイゴ影響エイキョウショウじたクレオールが普及フキュウしている。 1879年まで沖縄は日本ではありませんでした。琉球王国です。
別の国であり距離的にも離れた東北地方と類似性が高いというのは変です。
実際に日本語の方言は「本土方言」と「琉球方言」に大きく分かれます。
沖縄の言葉は日本語の方言ではなく、琉球語という別の言語であると考える人もいます。
バツ
選択肢2
ヤマト(大和)は、昔の日本の呼び名です。
グチは、口。言葉のこと。
なので、ヤマトーグチとは、本土の言葉のこと。
確かに最近の沖縄の若い人は、本土の言葉、東京の言葉を使います。
マスメディアの影響でしょう。
沖縄に住んでいた時、若い人の言葉は全てわかりました。
おじいさんおばあさんの言葉は、ときどき何を言っているのかわかりませんでした。
マル
選択肢3
これも歴史を勉強していたらわかりますね。
昔の沖縄は琉球王国でした。琉球王国は、中国の明の冊封体制にありました。
民に特産品を献上し、代わりに褒美をもらっていたのです。
中国では2000年以上前から紙を使っていますので、その中国の冊封体制にある
沖縄の方言が口承伝達で文書資料が残っていないというのは明らかに変です。
バツ
選択肢4
沖縄でクレオールは普及していません。
よって、答えは2
  トイ4 消滅ショウメツ危機キキにある言語ゲンゴ方言ホウゲンタイする保存ホゾン継承ケイショウのためのみとして 問4の解き方【消滅の危機にある言語・方言に対する保存・継承のための様々な取り組み】 方言札ほうげんふだというは、ご存じだろうか?        
    不適切フテキセツなものをエラ         不正解フセイカイ この問題は知識が無くても解けます。 または、方言罰札とも言われていたようです。          
明らかに変な選択肢が1つあるので、落としたくない問題です。 方言罰札とは、標準語を普及させる手段として、主に学校において、      
1 危機的キキテキ状況ジョウキョウにある言語ゲンゴ方言ホウゲンサミットを開催カイサイしている 選択肢1 非標準語(地方言語・方言)の使用者に掛けさせた札のことです。      
2 言語ゲンゴ方言ホウゲン保存ホゾンするためのアーカイブオコナっている。 特に変なことは言っていません。 1872年(明治5年)に琉球藩となり、1879年(明治12年)沖縄県となり      
3 消滅ショウメツ危機キキにひんしている言語ゲンゴ方言ホウゲン実施ジッシ調査チョウサをしている 選択肢2 500年にわたる琉球王国歴史は終焉します。          
4 方言使用ホウゲンシヨウ奨励ショウレイするために方言ホウゲンレイ学校教育ガッコウキョウイク導入ドウニュウしている。 特に変なことは言っていません。                  
選択肢3 翌1880年、明治政府は沖縄に小学校、中学校、師範学校を設置して      
特に変なことは言っていません。 本土と同じ共通語を修得させるため、「沖縄対話」の会話教本を      
選択肢4 出版して方言取締令を出し方言の矯正と標準語の強制を行います。      
私は日本の学校に行きましたが、小学校でも中学校でも高校でも                  
「方言使用を推奨」することも「方言札」 日本本土との言語差が大きい沖縄県で使われたのが、方言罰札です。      
を使うこともありませんでした。 標準語の使用を強制させるため、学校で方言を話した者に、罰として首から下げさせた木札です。
明らかに誤り。 これは、沖縄だけではなく日本各地の学校でもされていたということですが、    
特に沖縄で厳しく行われ、明治末から第二次大戦後まで用いられていたそうです。    
方言札は平成29年度日本語教育能力検定試験V問題14問1選択肢4で
【罰札】として登場しています。
方言札とは、かつて東京の言葉(標準語)を強制するために、
地方の方言を使った子供に罰として首に掛けた札のことです。
  トイ5 手話シュワカンする記述キジュツとして適当テキトウなものをエラ     正解セイカイ 選択肢1 問題15の文章の最後の段落に            
CODAです。 「国家の公用語に制定している国がある」と書いてありますが、これはどこの国か知っていますか? 
1 ろうシャオヤ聴者チョウシャ子供コドモをディスレクシアと CODAとは、ろう者の親を持つ聴者の子どもです。 手話を国家の公用語に制定している国は、ニュージーランドです。      
2 世界中セカイジュウ手話シュワ構造コウゾウ共通キョウツウしており、意思疎通イシソツウ容易ヨウイである CODAは「コーダ」と読みます。 ニュージーランドと言えば、「英語」はもちろん公用語です。      
3 日本ニホンでは公的場面コウテキバメン手話シュワ通訳ツウヤクけることが義務ギムづけられている。 他にも先住民族であるマオリが用いる「マオリ語」と、        
4 日本手話ニホンシュワ日本語ニホンゴとはコトなる言語ゲンゴ体系タイケイっている ろう者は、耳の聴こえない人 2006年4月から導入された「ニュージーランド手話」の3つの公用語があります。    
聴者は、耳の聴こえる人
耳の聴こえない親を持つ耳の聴こえる子どもの困難については下記の記事を参照
『耳の聴こえない親を持つ子「CODA」は可哀想なのか。研究者が直面した現実』
CODAとは“両親のひとり以上が聴覚障害を持つ、耳の聴こえる子どものこと。
18歳以上はCODA(Children of Deaf Adults)ですが、
それ未満はKODA(Kids of Deaf Adults)と表記します
ディスレクシアは、文字をうまく認識できず、読み書きが困難になる症状です。失読症とも。
日本語教師として働き始めてから、何人もディスレクシアの方に会いました。
ディスレクシアの方がいた場合、どのような配慮をすればいいか。
今後、出題されそうですね。
選択肢2
世界中の手話の構造は共通しておらず、意思の疎通は容易ではありません。
選択肢3
確かにテレビでは政見放送などで手話を見る時はありますが、いつもではありません。
公的場面で手話通訳を付けることが義務づけられていないのは明らかです。
選択肢4
日本手話はろう者のコミュニティの中で発展してきたので、日本語とは異なる言語の体系を持っています。
マル
よって、答えは4