日本語教育能力検定試験V問題 9 異文化イブンカコミュニケーション】 【はま先生解説センセイカイセツ のんびり日本語教師ニホンゴキョウシ
  トイ1 異文化イブンカカン葛藤カットウ」がショウじている状態ジョウタイはどれかべよ   正解セイカイ この問題は知識なしで解けます。落としたくない問題です。
「異文化葛藤」っぽい選択肢を選べばOKです。
1 ある思想シソウ価値観カチカン自分ジブン同一化ドウイツカしてみるなど、試行錯誤シコウサクゴしている状態ジョウタイ 葛藤とは、相反する欲求が同時に起こり、迷うこと。
2 ある感情カンジョウ表出ヒョウシュツしている他者タシャ自分ジブンにも同一ドウイツ感情カンジョウショウじている状態ジョウタイ 選択肢1
3 人間関係ニンゲンカンケイタイする価値観カチカンなどが文化ブンカとは相反アイハンするとカンじている状態ジョウタイ 「同一化してみる」というのが相反する葛藤っぽくないです。
4 自我ジガ統合トウゴウがうまくいかず、自分自身ジブンジシン見失ミウシナいそうになっている状態ジョウタイ 選択肢2
「同一の感情」というのが相反する葛藤っぽくないです。
選択肢3
「自文化とは相反する」というのが異文化間の葛藤っぽいです。
選択肢4
「異文化」という要素がありません。相反する要素もないので葛藤っぽくないです。
よって、答えは3
  トイ2 葛藤カットウ解決カイケツ方略ホウリャク」のうち「直接チョクセツ双方ソウホウ方略ホウリャク」のレイエラ   正解セイカイ 葛藤解決方略 社会シャカイ心理学シンリガク
ファルボとペプローにより提唱。
1 隣人リンジン深夜シンヤまでサワいでいたら、「シズかにしてください」と本人ホンニンいに 直接−間接(相手に対して自分の願望や要求をどれだけ明確に表現するか)、
2 隣人リンジン深夜シンヤまでサワいでいても我慢ガマンし、その状況ジョウキョウツヅ場合バアイしをする。 双方向−一方向(相手の願望や要求に対してどれだけ配慮するか)の2次元によって、
3 深夜シンヤまでサワいでいる隣人リンジンに、自分ジブン早朝ソウチョウ出勤シュッキン毎晩マイバン10にはることをツタえる さまざまな方略を分類している。
4 深夜シンヤまでサワいでいる隣人リンジン説得セットクし、ヨル10以降イコウサワがないというルールをツク
直接・双方向 説得、交換取引、妥協で、
直接・一方向 依頼、哀願など、
間接・双方向 暗示、印象操作などで、
間接・一方向 批判、泣く、無視
などである。大渕と北中はいずれの葛藤解決方略が有効かを実験的に検討し、
直接−双方向方略が最も有効であること、また、
間接より直接、一方向より双方向の解決方略が有効であることを示した。
 ここで問われているのは直接・双方向方略です。
 1 「静かにしてください」は依頼なので直接・一方向方略
 2 「我慢からの引っ越し」は間接・一方向方略
 3 「私は10時に寝ますよ(だから静かにして)」って間接発話行為みたい。
            暗示、印象操作みたいなことなので間接・双方向方略
 4 「説得」という言葉もあるし、ルールを作るというのも交換取引にあたりそう。
           これが直接・双方向方略。
  トイ3 自分自身ジブンジシン客観的キャッカンテキつめなおすために提案テイアンされた「ジョハリのマド」の   選択肢1 ジョハリの窓とは、ジョセフ・ラフトハリー・インガム によって考案された、      
    4つのマドカンする記述キジュツ適当テキトウなものをエラ     正解セイカイ 未知の窓は自分も他人も知らない部分です。 自己開示について客観的に捉えるための枠組みのことです。          
「他者の意見」とは、他者が知っているけど自分が知らないことです。 自分が知っているかどうか、他人に知られているかどうかで4つの枠組みに分けられます。    
1 未知ミチマド」がオオきいヒトは、他者タシャ意見イケンこうとせず、頑固ガンコになる傾向ケイコウがある 他者が知っているけど自分が知らないのは盲目の窓です。                    
2 盲目モウモクマド」がオオきいヒトは、他者タシャ自分ジブンタイする反応ハンノウへの感受性カンジュセイヒク傾向ケイコウがある。 「他者の意見を聞こうとせず、頑固になる傾向がある」のは、盲目の窓が大きい人です。 開放の窓 自分も他人も知っている部分。自己開示している部分。        
3 解放カイホウマド」は周囲シュウイっているが、本人ホンニンマッタ気付キヅいていない部分ブブンである。 選択肢2 自己開示も多いから自分も相手も知っているオープンな部分が大きいわけで… それは積極的な人です。  
4 秘密ヒミツマド」は自分ジブンマワりのヒトづいていない、可能性カノウセイめた部分ブブンである。 そのとおりです。                    
選択肢3 隠蔽の窓 自分は知っていて、他人は知らない部分:秘密の窓とも呼ばれる      
開放の窓は周囲も本人も知っている部分です。 隠れた部分が大きい人は自己開示をあまりしてないので他人に知られていない部分が多くなってます。  
「周囲は知っているが、本人が全く気づいていない部分」は盲目の窓です。 相手がしっかり自分のことを理解してくれてないということなので、コミュニケーションが取りにくくなります。
選択肢4                    
秘密の窓は自分が知っているけど周りの人が気づいていない部分です。 目隠しされた窓 自分は知らないが、他人が知っている部分。:盲点の窓/盲目の窓とも呼ばれる    
「自分も周りの人も気づいていない、可能性を秘めた部分」は未知の窓です。 自分の思う自分と他人が思う自分に違いがあるってことなので、周囲と食い違いがあります。    
よって、答えは2 ちゃんと自己開示すればこうなってないので、頑固なところはあります。      
                   
未知の窓 自分も他人も知らない部分。無限にあると考えられる        
自己開示が少ないから相手も自分のことを分かってくれてないし、        
  トイ4 偏見ヘンケン」にカンする記述キジュツとして不適当フテキトウなものをエラ   不正解フセイカイ 問4の解き方【偏見】 自分も自分のことをあまり知らないってこと。積極性・感受性が低いからこういうことになってます。  
この問題は知識なしで解けます。「偏見」とは何か。丁寧に考えれば答えが出ます。                    
1 他者タシャタイして無意識ムイシキイダいてしまう、否定的ヒテイテキ感情カンジョウ 偏見とは、偏った見方、考え方。特定の個人や集団に対して抱く否定的な感情です。
2 自集団ジシュウダン立場タチバ優位ユウイたせようとする意識イシキ 自己を守るために他者を否定的に捉える姿勢です。目に見えるものではありません。
3 特定トクテイ集団シュウダンタイするイメージみモトづく排除行動ハイジョコウドウ 特定の社会集団やカテゴリーに対する知識や信念をステレオタイプと呼び、      
4 自己ジコマモるために他者タシャ否定的ヒテイテキトラえる姿勢シセイ 各選択肢を見ると、1「感情」2「意識」3「行動」4「姿勢」 ここに否定的な評価や感情が加わると、「◯◯人は時間にルーズだ」というような      
「行動」以外は目に見えない気持ちです。 偏見が形成される。その結果として差別意識が生じ、差別行動に至る。        
「行動」は目に見えるものです。考え方や感情、姿勢を表す偏見とは明らかに異なります。 つまりステレオタイプに否定的な評価や感情が加わったものが偏見。        
よって、答えは3 偏見が強まって差別意識が生じ、行動を起こすといよいよ差別。        
ステレオタイプ+否定ヒテイテキ評価ヒョウカ/価値観カチカン偏見ヘンケン差別サベツ意識イシキ差別サベツ行動コウドウ
  トイ5 集団間シュウダンカンサイカテゴリーウナガ活動カツドウレイとして適当テキトウなものをエラ 正解セイカイ 問5 集団間の再カテゴリー化を促す活動
1 留学生リュウガクセイ」と「日本人ニホンジン学生ガクセイ」が「X大学ダイガク学生ガクセイ代表ダイヒョウ」として模擬店モギテン出店シュッテンする  カテゴリー化とは、目にした対象のパターンを最も類似した過去の記憶に基づいて、
2 日本人ニホンジン学生ガクセイ」と「留学生リュウガクセイ」のチガいを強調キョウチョウし、おタガいの長所チョウショ短所タンショ指摘シテキする その対象の持っている属性や性質を推測することで生じる分類のことです。人は認知能力に限りがあるため、
3 来日ライニチもない「留学生リュウガクセイ」にタイして、「日本人ニホンジン学生ガクセイ」が学習ガクシュウ生活セイカツサポートをオコナ カテゴリー化により最小の認知的努力で最大の情報を得ようとします。
4 自分ジブンクニ民族衣装ミンゾクイショウて、「カクコク代表ダイヒョウ」として地域チイキ文化ブンカタガいに紹介ショウカイする。 集団はカテゴリー化されることが多く、それによって内集団と外集団の違いが鮮明となることで
偏見や差別が生まれるとされます。
 選択肢1
 例えば同じ大学にいる学生でも、日本人学生と留学生では壁があるというか、
 実は無意識にカテゴリー化されています。この2つの集団が一緒に模擬店を開くと
 同じ集団であることをより意識するようになって、カテゴリーを再構築できるかもしれません。
 選択肢2
 違いを強調すると内集団と外集団の違いがより鮮明になるので、ステレオタイプを促進させます。
 選択肢3
 留学生は日本での生活が難しいからサポートしてあげようみたいな考えは決して悪くない、
 むしろ良いことです。でも言語が違う、国が違う、外見が違うという点をより意識することになるので、
 カテゴリー化は促進されるでしょう。
 選択肢4
 各文化の紹介は各文化の違いを鮮明にするので、カテゴリー化を促進します。
 別に悪いことじゃないんですけどね。
 したがって答えは1です。