日本語教育能力検定試験V問題 2 【ポーズ】 【はま先生解説センセイカイセツ
  トイ1 発話中ハツワチュウ話者ワシャ音声オンセイハッしない区間クカンのことをポーズとう。ポーズは、ヒトヒトつの 問1の解き方【単音を見ているだけでは捉えられない音声の特徴とは】 ***************************      
    単音タンオンているだけではトラえられない音声オンセイの【(ア)】特徴トクチョウヒトつである。 文章にヒントがあります。 超分節的特徴の意味          
    【(ア)】にれる適当テキトウなものをエラ     不正解フセイカイ 「一つ一つの単音…では捉えられない」 超分節的特徴とは、分節を超えた特徴。      
つまり 1つ1つの音ではなく連続した音の特徴のこと。    
1 超文節的チョウブンセツテキ 単音を超える存在そう。 韻律的特徴ともいいます。         
2 示唆的シサテキ 超分節的特徴です。              
3 音調オンチョウテキ 超分節的特徴の例として         
4 線条センジョウテキ よって、答えは1 @イントネーション(抑揚)        
Aポーズ            
Bアクセント          
Cリズム            
があります。          
             
似た言葉にプロソディー(韻律)があります。      
  トイ2 単音タンオン規範的キハンテキ調音チョウオンホウショウじる無音ムオン区間クカンフクレイとして適当テキトウなものをエラ 正解セイカイ 「1つの音をお手本通りに発音した場合、音がないところがある調音法はどれ」 つまり、 超分節的特徴とは、プロソディーの特徴のことです。  
「調音法」といえば、破裂音・摩擦音・破擦音・鼻音が思い浮かびます。 英語では、suprasegmental features      
1 うみ 文節ではなく分節          
2 あか 破裂音:調音点を閉鎖して無から解放              
3 にわ 摩擦音:調音点を擦るように狭める ***************************      
4 ぬま 破擦音:破裂音+摩擦音 プロソディーとは、音をまとめて考えること。      
鼻音:調音点を閉鎖しつつ鼻から息を出す。 韻律(いんりつ)とも。        
具体的には、          
→破裂音・破擦音は閉鎖しているとき呼気を止めているので音が無い! @イントネーション(抑揚)        
→破裂音・破擦音を探せ! Aポーズ            
音を知りたいときはローマ字にしよう。 Bアクセント          
各選択肢をローマ字にして、破裂音・破擦音を探します。 Cプロミネンス(大切な所を強調する)      
D拍の長さ            
選択肢1  などがあります。          
うみ umi 母音、鼻音、母音              
選択肢2 プロソディーと似た言葉に超分節的特徴があります。    
あか aka 母音、破裂音、母音 超分節的特徴は、韻律的特徴ともいいます。韻律とはプロソディーのこと。
選択肢3 つまり、 超分節的特徴とは、プロソディーの特徴のことです。  
にわ niwa 鼻音、母音、半母音、母音              
選択肢4
ぬま numa 鼻音、母音、鼻音、母音 パラ言語ゲンゴ言語ゲンゴ周辺的シュウヘンテキ側面ソクメン周辺言語シュウヘンゲンゴともいう    
よって、答えは2 @イントネーション(抑揚ヨクヨウ        
Aポーズ       ※アクセントはハイらない
実際、それぞれの選択肢を発音してみると Bコエオオきさ          
選択肢2「あか」だけ、「あ」と「か」の間に区切りがあるのがわかります。 Cコエハヤ            
「か」を発音する前に力を貯めています。 D音質オンシツ            
他の選択肢は区切りなく発音できます。
母音は呼気を止めないので無音区間がありません。
  トイ3 曖昧文アイマイブン統語構造トウゴコウゾウかりやすくする機能キノウ」をポーズがニナっているレイとして 問3の解き方【曖昧文の統語構造を分かりやすくする機能をポーズが担っている例】
    適当テキトウなものをエラ         正解セイカイ 「統語構造」というのは、言葉の順番やセットのことです。
1 東京トウキョウ友達トモダチのおネエさんがアソびにた」というブンで、「友達トモダチの」のアトにポーズを 例えば、言葉の順番
くことによって、東京トウキョウにいるのが友達トモダチでないことをシメす。 「昨日、食べたご飯を」は正しくありません。
「昨日、ご飯を食べた」が、日本語の正しい統語構造です。
2 警官ケイカン必死ヒッシげる犯人ハンニンいかけた」とういブンで、「警官ケイカンは」のアトにポーズを
くことによって、必死ヒッシだったのが犯人ハンニンであることをシメ 例えば、言葉のセット
「おととい母からもらったメロンを食べた」は
3 去年キョネンあのイエてた建築士ケンチクシ引退インタイした」というブンで、「てた」のアトにポーズを 「おととい母からもらったメロンを食べた」「おとといもらった」のか
くことによって、建築士ケンチクシがしたことはイエてたことであることをシメす。 おととい母からもらったメロンを食べた」「おととい食べた」のか
どちらのセットかわかりません。セットも統語構造の問題です。
4 「このマエ叔母オバからもらったモモべた」というブンで、「モモを」のアトにポーズを では各選択肢を見て、実際にポーズを置いてみましょう。
くことによって、べたのが、「このマエ」がテンであることをシメ
選択肢1
東京の友達の、お姉さんが遊びにきた」
「友達の」の後にポーズを置くことによって、東京にいるのが友達であることを示しています。
一方
東京の、友だちのお姉さんが遊びに来た」
「東京の」の後にポーズを置くことによって、東京にいるのが友達ではないことを示しています。
この場合は、「東京のお姉さん」で、東京にいるのがお姉さんであることを示しています。
選択肢2
「警官は、必死に逃げる犯人を追いかけた」
「警官は」の後にポーズを置くことによって、必死だったのが犯人であることを示しています。
一方
警官は必死に、逃げる犯人を追いかけた」
「必死に」の後にポーズを置くことによって、必死だったのが警官であることを示しています。
選択肢3
昨年あの家を建てた、建築士は引退した」
「建てた」の後にポーズを置くことによって、あの家を建てたのが昨年であることを示しています。
昨年、あの家を建てた建築士は引退した
「昨年」の後にポーズを置くことによって、引退したのが昨年であることを示しています。
選択肢4
この前叔母からもらった桃を、食べた」
「桃を」の後にポーズを置くことによって、「もらった」のが「この前」が指す時点であることを示しています。
「この前、叔母からもらった桃を食べた
「この前」の後にポーズを置くことによって、「食べた」のが「この前」が指す時点であることを示しています。
よって、答えは2
  トイ4 プロソディにカンして日本語ニホンゴ共通語キョウツウゴのプロソディの特徴トクチョウとして不適当フテキトウなものを 選択肢1 アクセントとイントネーションの定義          
    エラ           不正解フセイカイ 音の高さをピッチといい、音の高さを形にしたものをピッチパターンといいます。                  
基本的に、呼気の減少に応じてピッチパターンは「へ」の字形になります。正しいです。 アクセント(accent)とは、単語を区別することです。        
1 大学ダイガク友達トモダチく」などのブンで、呼気コキ減少ゲンショウオウじてピッチパターンが アクセントの分類              
「へ」の字形ジケイになる。 選択肢2 ピッチアクセント(高低アクセント)は、どこを高く発音するかが重要です。(日本語など)  
アクセントは他の音と比べて高いか低いかなので「火」「日」という ストレスアクセント(強弱アクセント)は、どこを強く発音するかが重要です。(英語、ロシア語など)
2 」と「」などのでは、意味イミ区別クベツにアクセントが影響エイキョウする。 1字だけではわかりません。助詞をつけてみましょう。 声調(トーン)は、語全体をどのような音調で発音するかが重要です。(中国語、タイ語など)  
「火が消えた」高低 日本語はピッチアクセントということだけを知っておいてください。      
3 オトウトは」などのでは、アクセントのカクのあるモーラでピッチがオオきく上昇ジョウショウする 「日が暮れた」低高 関東と関西での高低するところの違うことば「箸」と「橋」は、方言によるアクセントの違いといえます。
「火」高低の頭高型                  
4 べますか」などの疑問文ギモンブンで、発話末ハツワマツ上昇ジョウショウさせることで疑問ギモンアラワ 「日」は低高の平板型 イントネーション(intonation)とは、話し手の表現意図や気持ちなどニュアンスを伝えることです。
アクセントの違いで語の意味を区別することができます。正しいです。 イントネーションの意味            
単語会話でも、話し手が感心・疑問・落胆・同意などの感情的な意味を込めて使っていた場合は、
選択肢3 アクセントの上にかぶさって抑揚の変化が加わるということになります。    
「アクセント核」というのは、下がる前の高い音のことです。 イントネーションは、声を上昇調、下降調、自然下降調などに変化させている    
「弟は」のアクセントは「低高高低」の尾高型
太字がアクセント核です。 平版型ヒラバンガタレイ:アクセントのカクい。助詞ジョシが「コウ」になるのは平版式ヒラバンシキだけ    
見てわかるようにその1つ前の音も「高」になっています。 が が さくらが きが 煮豆ニマメが 学生ガクセイが         
なので、アクセント核のあるモーラでピッチが大きく上昇するのは誤りです。 頭高アタマダカガタレイ:アクセントのカク最初サイショハクにあるもの        
が が アキが イノチが 端が 猫が トマトが ゴジラが 歳月が 関西カンサイが     
選択肢4 中高ナカタカガタレイ:アクセントのカク途中トチュウハクにあるもの        
疑問文では文末イントネーションを上げます。試験Uの問題2でよく出題されますね。 あなたが トマトが 一人ヒトリが 夜回りが          
正しいです。 尾高オダカガタレイ:アクセントのカク最後サイゴにあるもの:助詞ジョシけないと平版式ヒラバンシキわらない。  
トキが オトコが 痛みが オトウトが イモウトが 元々モトモト          
よって、答えは3
平版型ヒラバンガタ テイコウ 助詞ジョシが「コウ」になるのは平版型ヒラバンガタだけ。
平版型ヒラバンガタ テイコウ 助詞ジョシが「コウ」になるのは平版型ヒラバンガタだけ。
平版型ヒラバンガタ サクラ くらがテイコウコウコウ 助詞ジョシが「コウ」になるのは平版型ヒラバンガタだけ。
平版型ヒラバンガタ きが きがテイコウコウ 助詞ジョシが「コウ」になるのは平版型ヒラバンガタだけ。
頭高アタマダカガタ が:コウテイ 頭高アタマダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
頭高アタマダカガタ が:コウテイ 頭高アタマダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
頭高アタマダカガタ アキ きが:コウテイテイ 頭高アタマダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
頭高アタマダカガタ ネコ こが:コウテイテイ 頭高アタマダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
頭高アタマダカガタ ミドリ どりが:コウテイテイテイ 頭高アタマダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ トキ が=テイコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ ヤマ が=テイコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ オトコ とこが=テイコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ イタみが たみが=テイコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ 白髪シラガ らがが=テイコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ オトウト とうとが=テイコウコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ イモウト もうとが=テイコウコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
尾高型オダカガタ 元々モトモト ともとが=テイコウコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシ「が」はがる
例外レイガイ
尾高型オダカガタ オトコ とこが=テイコウコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシがる
例外レイガイ オトコ とこのテイコウコウコウ 例外レイガイ助詞ジョシ「の」ががらない
尾高型オダカガタ ヤマ が=テイコウテイ 尾高型オダカガタ助詞ジョシがる
例外レイガイ ヤマ まのテイコウコウ 例外レイガイ助詞ジョシ「の」ががらない
  トイ5 ポーズのカタ指導シドウするサイ留意点リュウイテンとしてモット適当テキトウなものをエラ 不正解フセイカイ ポーズの入れ方の指導法として変なものを消去していけば答えが出ます。
1 ポーズは、一定イッテイ時間ジカンごとにれるように指導シドウする。 選択肢1
2 ポーズをいたアトでは、ピッチががらないヨウ指導シドウする。 ポーズを一定時間ごとに入れる。例えば5拍ごとに入れると以下のようになります。
3 かりやすい発話ハツワにするために、ポーズは助詞ジョシマエれるように指導シドウする 「わたしはき、のうネコカ、フェにいきま、した。」
4 ブンブンアイダか、段落ダンラク段落ダンラク間化アイダカでポーズのナガさをえるように指導シドウする。 明らかに変です。
選択肢2 日本語は、ひとつのフレーズでピッチパターン(声の高さ)が「への字」になる。
ポーズを置いた後は、息を吸うことで呼気が復活しますので、
ピッチは自然と上がります。ポーズの後に再び「へ」の字形になります。
ピッチが上がらないように指導するのは逆に不自然です ポーズ曖昧文の統語構造を分かりやすくする。
文と文のポーズより、段落と段落のポーズを長くした方がよい。
選択肢3
ポーズを助詞の前に入れると以下のようになります。
「わたし、はきのうネコカフェ、に行きました」
明らかに変です。
選択肢4
文と文の間よりも段落と段落の間の方が、大きなまとまりなので、ポーズの長さも長くなります。
よって、答えは4