日本語教育能力検定試験U問題6 誤用ゴヨウ 【はま先生解説センセイカイセツ 令和2年度(2020年)日本語教育能力検定試験 試験U(聴解・音声)問題6は例年通り、  
学習者が短い文を言うので、その中に含まれる誤りの説明として最も適当なものを選ぶ問題でした。
【予想問題】試験U問題6が解けるようになる練習問題集 問題6は聴解問題と言っていますが、実際は文法の知識を問う問題なので、    
聴解・音声が苦手な人でも対策をすれば、満点が狙えます。        
トラック36:説明セツメイ 各選択肢を見て、具体例がすぐ思い浮かぶようにしておきましょう。      
  レイ               トラック37
a 副詞フクシ動詞ドウシ混同コンドウ 先生センセイホンにとても興味キョウミしました。 転音とは?
b 名詞メイシ動詞ドウシ混同コンドウ 転音とは、語が複合するときに、元の音が別の音に転ずること。
c 形容詞ケイヨウシ動詞ドウシ混同コンドウ 興味キョウミしました。 動詞ドウシ名詞メイシ混同コンドウしているのでコタえはbとなる。 例)「雨(ame)」+「傘」→「雨傘(amagasa)」
d 形容詞ケイヨウシ動詞ドウシ混同コンドウ
音位転換とは?
  1バン             不正解フセイカイ トラック38 音位転換とは、語の内部で子音が入れ替わる現象。読み方は「おんいてんかん」。発音しやすくするためなど。
例)「新しい」:あらたし→あたらし
a 転音テンオンショウじている 誤用ゴヨウ あつい フライパンにさわって てを やぶき しました   「秋葉原」:あきばはら→あきはばら
b オン転換テンカンショウじている 正用セイヨウ あつい フライパンにさわって てを やけど しました   「舌鼓」:したつづみ→したづつみ
c 連濁レンダクショウじている
d 連声レンジョウショウじている 熱いフライパンに触って、手をやぶけしました。 「雰囲気(ふんいき)」を「ふいんき」と読んでしまったり、「とうもろこし」を「とうもころし」
→手をやけどしました。 (となりのトトロのメイ)と読んでしまうのも音位転換のせい。
やぶけ→やけど
音が全然違うので、どの選択肢も選べません…。 連濁とは?
連濁とは、2つの語が結合して、1語になるときに、後ろの語の最初の音が清音から濁音に変わること。
公式の答えを見ると、答えはbの音位転換 例)「雨」+「傘(かさ)」→「雨傘(あまがさ)」
音位転換だとすると「やけど」→「やどけ」のはず。 連声とは?
ですが何度聞いても 連声とは、前の語の末尾の音[n][m][t]が、後ろの語のア行、
「やどけ」ではなく「やぶけ」に聞こえます。 ヤ行、ワ行に影響を与えて、タ行、ナ行、マ行の音に変わること。中世に起こったものが多い。
みなさんはどうですか? なお、「れんじょう」と読みます。
この問題はできなくても気にしないでください。
答えはb 例)「因縁」:いんえん→「いんねん」
  2バン             正解セイカイ トラック39
連濁
a 副詞フクシセツアヤマ 誤用ゴヨウ どんなに あやまっても ゆるして もらなかったんです 後ろの語の最初の音が濁音化することです。後ろの語の最初が
b 接続セツゾク助詞ジョシアヤマ 正用セイヨウ どんなに あやまっても ゆるして もらなかったんです。 「カ行」「サ行」「タ行」「ハ行」の場合に起こります。
c 可能形カノウケイ不使用フシヨウ
d 使役形シエキケイ不使用フシヨウ 聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ はな + こえ → 鼻声(はなごえ)(「こ」→「ご」)
a 副詞節の誤り くさ + はな → 草花(くさばな)(「は」→「ば」)
たくさん勉強しても、試験に受かりました×
→たくさん勉強したので、試験に受かりました〇 転音
前の語の最後の母音が変わることをいいます。母音交代ということもあります。
b 接続助詞のあやまり
たくさん勉強して、試験に受かりました× 雨(あめ)+ 音(おと)→ 雨音(あまおと)(「め」→「ま」)
→たくさん勉強したので、試験に受かりました〇 木(き)+ 陰(かげ)→ 木陰(こかげ)(「き」→「こ」)
c 可能形の不使用 音韻添加
教えていただませんか× 後ろの語の最初に新しい音素が入ることをいいます。
→教えていただませんか〇 春(はる)[haru] + 雨(あめ)[ame] → 春雨(はるさめ)[haru same]
この場合、「はる」と「あめ」の間に「s」という新しい音がはいっています。
d 使役形の不使用
子供の頃はよく母にニンジンを食べられました 連声
→子供の頃はよく母にニンジンを食べさせられました 前の語が[m][n][t]で終わり、後ろの語の最初が「ア行」「ヤ行」「ワ行」で
始まるときに、その部分が「マ行」「ナ行」「タ行」になることです。
許してもらなかった
→許してもらなかった 漢語でよくみられます。例で覚えるのが早いと思います。
反(はん)[han] + 応(おう)[oo] → 反応(はんのう)[han-noo]
「許してもらう」→可能形は「許してもらる」 因(いん)[in] + 縁(えん)[en] → 因縁(いんねん)[in-nen]
「許してもらない」→可能形は「許してもらない」
「許してもらなかった」→可能形は「許してもらなかった」 半濁音化
後ろの語の最初の「ハ行」の音が「パ行」に変わることです。
よって、答えはc しん + はん → 審判(しんぱん)
えん + ひつ → 鉛筆(えんぴつ)
  3バン             正解セイカイ トラック40
a 副詞フクシアヤマ 誤用ゴヨウ 日本ニホン、 ぜひ 寿司スシべてください
b 格助詞カクジョシアヤマ 正用セイヨウ 日本ニホンなら、ぜひ 寿司スシをたべてください。
c 条件表現ジョウケンヒョウゲンアヤマ
d 依頼イライアラワ表現ヒョウゲンアヤマ 聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 副詞の誤り
例)あまり食べました×
→少し食べました〇
b 格助詞の誤り
例)ご飯が食べました×
→ご飯を食べました〇
c 条件表現の誤り
例)東京駅に着け、乗り換えてください×(問題2(5)選択肢1より)
東京駅に着いたら、乗り換えてください〇
d 依頼を表す表現の誤り
例)教えていただませんか×
→教えていただませんか〇
聞いて誤りを直す
日本に行く、ぜひ寿司を食べてください。
→日本に行ったら、ぜひ寿司を食べてください。
「と」「たら」は条件表現
よって、答えはc
  4バン             不正解フセイカイ トラック41
a 意向系イコウケイアヤマ 誤用ゴヨウ カレはお土産ミヤゲを たべろうとしました
b 過去形カコケイアヤマ 正用セイヨウ カレはお土産ミヤゲを たべようとしました
c 命令形メイレイケイアヤマ
d 助動詞ジョドウシ活用形カツヨウケイアヤマ 聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 意向形の誤り
例)一緒に行きよう! 一緒に食ぼう!×
→一緒に行こう! 一緒に食べよう!〇
b 過去形の誤り
例)昨日、行きた×
→昨日、行った〇
c 命令形の誤り
例)行きろ! 食べ! ×
→行け! 食べろ! 〇
d 助動詞の活用形の誤り
例)彼は猫が好きにちがいないと思います。
→彼は猫が好きにちがいないと思います。
聞いて誤りを直す
おみやげを食べろうとした
→おみやげを食べようとした
わたし は さかな が とても  すき  です。
「食べよう」は意向形                  すき  です。
よって、答えはa             あまり  すき  じゃありません
                 すき  じゃありません。
            ぜんぜん すき  じゃありません
  5バン             不正解フセイカイ トラック42             とても  きらい です。
                 きらい です。
a 使役形シエキケイアヤマ 誤用ゴヨウ どもたち、 もっと ソトアソばせてあげたいです (あまり嫌いじゃありません。/全然嫌いじゃありません。は微妙なので取り上げない。)
b 助動詞ジョドウシアヤマ 正用セイヨウ どもたち、 もっと ソトアソばせてあげたいです 全然」の使い方としては、「全然+否定」という形で使われるのが一般的であり、
c 副詞フクシアヤマ 正しい使い方であるとされています。そのため「全然おいしい」「全然足りる」といった表現に対し、
d 助詞ジョシアヤマ 聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ 「それは日本語としておかしい」と指摘する人も多いのではないでしょうか。
a 使役形の誤り しかしながら、日本語の研究者たちの間では、「全然+否定」だけが正しいとするのは"迷信"だと考えられています。
例)ニンジンを食べせた×
→ニンジンを食べさせた
b 助動詞の誤り(日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド第5版のp42に助動詞の一覧あり)
例)猫が好きにべきだ× 助動詞ジョドウシ らしい ようだ みたいだ そうだ だろう はずだ
→猫が好きに違いない ちがいない のだ わけだ べきだ なかればならない なければいけない
c 副詞の誤り
例)あまり食べました×
少し食べました〇
d 助詞の誤り 助詞ジョシ 格助詞カクジョシ 助詞ジョシ 並列ヘイレツ助詞ジョシ
例)ご飯食べました× 接続セツゾク助詞ジョシ 終助詞シュウジョシ 複合フクゴウ格助詞カクジョシ  
→ご飯食べました〇
聞いて誤りを直す
子どもたちもっと外で遊ばせてあげたいです
→子どもたちもっと外で遊ばせてあげたいです
「が」「に」は助詞です。
よって、答えはd
  6バン               トラック43
a 名詞メイシアヤマ 誤用ゴヨウ フランスをならいましたが、たいていわすれました
b 副詞フクシアヤマ 正用セイヨウ フランスをならいましたが、ほとんどわすれました
c テンスのアヤマ
d 接続セツゾク助詞ジョシアヤマ 聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 名詞の誤り
例)地図を食べました×
→チーズを食べました〇
b 副詞の誤り
例)あまり食べました×
→少し食べました〇
c テンスの誤り
例)昨日猫カフェに行きます×
→昨日猫カフェに行きました〇
d 接続助詞のあやまり
例)たくさん勉強しても、試験に受かりました×
→たくさん勉強したので、試験に受かりました〇
聞いて誤りを直す
たいてい忘れました
→だいたい/ほとんど忘れました
「たいてい」:頻度を表す副詞
例)朝はたいてい勉強しています。
「だいたい/ほとんど」:1つの中の大部分を表す副詞
例)今日の勉強はだいたいわかりました。
よって、答えはb
  7バン               トラック44
a 動詞ドウシ活用カツヨウアヤマ 誤用ゴヨウ このおかしは、えきまえの ケーキで かうができます
b 連体修飾レンタイシュウショクアヤマ 正用セイヨウ このおかしは、えきまえの ケーキで かうことができます
c 複合フクゴウ名詞メイシアヤマ
d 形式ケイシキ名詞メイシアヤマ 聞く前に選択肢を見て誤りをイメージ
a 動詞の活用の誤り
例)読みた×
→読んだ〇
b 連体修飾の誤り
例)昨日プリン買ったがない×
→昨日買ったプリンがない〇
c 複合名詞の誤り
例)桜見が好きです×
→花見が好きです〇
d 形式名詞の誤り
例)私の夢は猫カフェを作るです×
私の夢は猫カフェを作ることです〇
聞いて誤りを直す
買うができます
→買うことができます
「の」「こと」は形式名詞
よって、答えはd
  8バン               トラック45
a 否定ヒテイ肯定コウテイ混同コンドウ 誤用ゴヨウ カレ意見イケンがただしいか どうか わたしにははんだん しかねません
b 格助詞カクジョシカカリ助詞ジョシ混同コンドウ 正用セイヨウ カレ意見イケンがただしいか どうか わたしにははんだん できません
c 疑問ギモン付加フカアヤマ
d 複合助詞フクゴウジョシアヤマ a 否定と肯定の混同
「あ、このバッグ、かわいくない?」
「え、かわいくないと思いますか? 私はかわいいと思います」
b 格助詞と係助詞の混同
係助詞とは、助詞の一類。いろいろの語について、それらにある意味を添えて、
下の用言や活用連語にかかり、それらの用言や活用連語の述語としての働きに影響を及ぼすもの。
口語では「は」「も」「こそ」「さえ」「でも」「しか」「だって」、
文語では「は」「も」「ぞ」「なむ(なん)」「や」「か」「こそ」などがある
※国語文法の「係助詞」や「副助詞」といった助詞をまとめて日本語教育では「取り立て助詞」と読んでいます。
 取り立て助詞は、事柄に対する話し手の捉え方を表す機能を持っています。      
例)ご飯しか食べます×
→ご飯を食べます〇
かねません」の意味            
c 疑問詞の付加の誤り    
何が食べたいかどうかわかりません× (悪い結果になる)かもしれない。  
→何が食べたいか分かりません〇  可能・不可能に関係なく、「そうなってしまうかもしれない」という意味を表します。
   
d 複合助詞の誤り 田中さんはいつも遅刻するから、今日も遅刻しかねない  
例)勉強に対して話したいです× 1日にたばこを20本も吸っていたら、将来病気になりかねない  
→勉強について話したいです〇 雨に濡れたままでいると、風邪を引きかねない  
問題は早く報告したほうがいいよ。もっと大きな問題になりかねない  
運転しながらメールを打っていたら、事故を起こしかねない  
A:誰、ここに落書きしたの? B:太郎くんなら、やりかねないよ  
   
現在の状態から悪い結果になるときに使う。いい結果になるときは使えない。  
いい結果になるときは「〜かもしれない」を使う。