試験�T　問題10

日本語教育能力検定試験�T問題10

【スキーマ活性化】

＜例文レイブン＞

そのボクシング選手センシュは代表ダイヒョウ選考センコウから外ハズれ、悔クヤしがった。

彼女カノジョは何年ナンネンも厳キビしい練習レンシュウに耐タえてきたのだ。

この二文目の「彼女」を「彼」に置き換えると、同じ分でも読み時間は短くなる。

「彼女カノジョ」だと読ヨみ時間ジカンが長ナガくなるのは、「ボクシング選手センシュ」に対タイする【（ア）】が

活性化カッセイカされ、認知的ニンチテキな葛藤カットウが起オきたことによる。また、読ヨみ手テは推論スイロンを行オコナいながら

文章ブンショウを読ヨむ。このような読ヨみの過程カテイで、文ブンと文ブンの間アイダの【（イ）】関係カンケイが築キズかれる。

その際サイ、照応ショウオウの理解リカイが重要ジュウヨウな要素ヨウソとなる。

問トイ1

【（ア）】と【（イ）】に入ハイる適当テキトウな組クみ合アわせを選エラべ

正解セイカイ

問１　スキーマの活性化とは？

「活性化」と言えば「スキーマ」と覚えてください。

1

レキシーム

結束ケッソク

スキーマとは、それに関連して覚えている色々なことです。

2

レキシーム

包摂ホウセツ

3

スキーマ

結束ケッソク

例えば、「ボクシング」という文字を読むと、

4

スキーマ

包摂ホウセツ

「ボクシング」に関連するイメージが脳の中にいろいろ浮かぶと思います。

それがスキーマの活性化です。

「ボクシング」に対するイメージは男ですが、次の文で「彼女」と出てくるので、

イメージの修正をしなければならなくなります。そのため、「彼女」にすると読み時間が長くなります。

彼女？あ、ボクシング選手＝彼女か。このようにして１文目と２文目が結び付きます。

文と文との間に結束関係が築かれたことになります。

結束関係とは、文と文が結びついている関係のこと。　赤本アカホンP161

よって、答えは３

他の言葉もチェックします。

包摂関係とは、「動物」と「鳥」のように、一方が他方を含んでる関係（「鳥」は「動物」に含まれている）。

レキシームとは、形は違うけど同じ言葉と思える語のまとまり。語彙素（ごいそ）とも。

例えば、「こども」と「こどもたち」は同じ語彙素としてまとめられます。

問トイ2

推論スイロンの一種イッシュである「精緻化セイチカ推論スイロン」の記述キジュツとして適当テキトウなものを選エラべ

正解セイカイ

問２　精緻化推論とは？

推論とは、文に書かれていないことを推測すること。

1

二フタつの文ブンを原因ゲンインと結果ケッカで関連カンレンづける

2

未知ミチの語ゴの意味イミの推測スイソクに関カカわる。

橋渡し推論と精緻化推論があります。

3

文章ブンショウの退位タイイを把握ハアクするのに不可欠フカケツである。

4

文章ブンショウのこの語ゴの展開テンカイを予測ヨソクする。

橋渡し推論とは、文（語）と文（語）を結び付けて書かれていないことを推測。

まとまった文章の理解に不可欠な推論。

橋渡し推論については、平成28年度日本語教育能力検定試験�T問題９問２で出題されています。

平成28年度の選択肢１

・花瓶を落としたので弁償することになった。

「花瓶が割れた」とは書かれていませんが

「花瓶を落とした」→「弁償することになった」

という文から「花瓶が割れた」を推測。これが橋渡し推論

精緻化推論とは、文章から読み取り理解した内容を、

すでにある知識と関連付けて、より理解を深めていく推論。

文章を理解した後にする推論。

橋渡し推論は、文章を理解する時。読解中なのでオンライン推論

精緻化推論は、文章を理解した後。読解後なのでオフライン推論

選択肢１

「二つの文を原因と結果で関係づける」のは、例えば平成28年度の選択肢１

「花瓶を落としたので弁償することになった」です。

「�@花瓶を落とした�A弁償することになった」のような２つの文から、

書かれていない「花瓶が割れた」を推論します。

�@の文を「花瓶が割れた」原因

�Aの文を「花瓶が割れた」結果

と関係づけます。

読解中に書かれていないことを推測しているので、橋渡し推論です。

選択肢２

「未知語の意味を推測」するには、他の知っている言葉を結び付けて知らない言葉の意味を推測します。

例えば、皆さんは「アップナーム」という言葉を知っていますか？

知らない人は「アップナーム」の意味を考えながら次の文章を読んでください。

「私はアップナームが大好きで、毎日、朝と夜にアップナームしています。でも、今は三日もアップナームしていません。

給湯器（きゅうとうき）が壊れて水しかでないから寒すぎてアップナームできません。

夏だったら、水でもアップナームできるけど、冬はちょっと。髪の毛がベタベタする。

体も匂いが気になる。香水でごまかしているけれど、そろそろアップナームしていないことが周りの人にばれるかも…」

みなさん

「アップナーム」の意味は分かりましたか？

「アップナーム」はタイ語で「シャワーを浴びる」です。

タイ語を知らないのに分かった人はいますか？

どうしてわかりましたか？

他の知っている語を結び付けて、未知語「アップナーム」の意味を推測しましたね。

書かれている文章を理解する時に推測しているので、橋渡し推論です。

選択肢３

「文章の大意を把握する」のは、書かれている文章を理解する時に推測しているので、橋渡し推論です。

選択肢４

「文章のこの後の展開を予測する」のは、書かれている文章を理解した後に推測するので、精緻化推論です。

よって、答えは４

問トイ3

「照応ショウオウ」に関カンして文中ブンチュウの例文レイブンに対タイする「照応ショウオウ」の適当テキトウな記述キジュツを選エラべ

正解セイカイ

1

自分自身ジブンジシンが体験タイケンしたことのある「悔クヤしがる」状況ジョウキョウを想起ソウキする

照応とは、代名詞（彼、彼女…）や指示詞（これ、それ…）を使って、他の物を指すこと。

2

「彼女カノジョ」と「そのボクシング選手センシュ」が同一ドウイツ人物ジンブツかどうか考カンガえる

3

「何年ナンネンも」から「代表ダイヒョウ選考センコウ」は数年スウネンに一度イチドだと解釈カイシャクする

例）私は今日、Aさんとデートの約束をしていたが、彼女は現れなかった。

4

「厳キビしい練習レンシュウ」とはどのような練習レンシュウだったのかと想像ソウゾウする

上の文章の「彼女」は、「Aさん」を指しています。これが照応です。

例文でいえば、「彼女」が「そのボクシング選手」をさしているのが照応です。

よって、答えは２

文章ブンショウを正確セイカクに読ヨむためには、メトニミーなどの理解リカイも必要ヒツヨウである。さらに、理解補償リカイホショウ方略ホウリャク、

内容理解方略ナイヨウリカイホウリャク、理解リカイ深化シンカ方略ホウリャクといった、文章ブンショウ理解リカイ方略ホウリャクを使ツカって読ヨみ進ススめて行イくことも

効果的コウカテキである。

問トイ4

メトニミーの例レイとして適当テキトウなものを選エラべ

正解セイカイ

メトニミーとは、「鍋を食べる」の「鍋」で「鍋の中身」を指すなど、近い関係にあるものでいうこと。

換喩（かんゆ）とも。

1

ジョッキを飲ノみ干ホす

2

週末シュウマツには花見ハナミに行イこう

選択肢１

3

友達トモダチが約束ヤクソクを破ヤブった

「ジョッキの中のビール」を「ジョッキ」という近い関係にあるもので表しているので、メトニミーです。

4

パンの耳ミミを食タべる。

選択肢２

花という上位語で桜という下位語を指すのは、シネクドキ―です。

選択肢３

約束は本来破れませんが、破るのイメージで言っているので、メタファーです。

選択肢４

パンに耳はありませんが、耳のイメージで言っているので、メタファーです。

よって、答えは１

文章ブンショウ理解リカイ方略ホウリャク

問トイ5

理解補償リカイホショウ方略ホウリャクの例レイとして適当テキトウなものを選エラべ

不正解フセイカイ

方略とはストラテジーです。ストラテジーとは工夫です。

文章ブンショウ理解リカイ方略ホウリャク：３つの方略 因子 ７つの方略

なので、問い５は文章を読むときの工夫が聞かれています。

下位カテゴリー

1

文章ブンショウ中チュウの出来事デキゴトを図ズや表ヒョウで整理セイリする。

方略例

2

段落ダンラクごとに、中心文チュウシンブンと支持文シジブンを抜ヌき出ダす。

「理解補償方略」「内容理解方略」「理解深化方略」という言葉は初めて試験で見ました。

*************************

3

分ワからなかった所トコロに戻モドって読ヨみ直ナオす

分からない言葉は、漢字や問題の文章から意味を推測します。橋渡し推論です。

理解補償方略　(部分理解方略）

4

文章ブンショウに出デてきた専門用語センモンヨウゴの和訳ワヤクを調シラべる。

意味明確化方略

理解補償方略とは、理解できなかった所を補うための工夫。部分理解方略とも。

例）分からない所はゆっくり読む。もう一度読む。

・各文は簡単に言うとどういうことかを考えながら読む

・集中して読む

内容理解方略とは、テキスト全体の内容を理解するための工夫。内容学習方略とも。

・難しい文は、自分の言葉でかみ砕いて言い直しながら読む

例）大切なところに線を引く。内容をまとめてメモする。

・どういう意味かをはっきりさせながら読む

・難しい言葉は自分の言葉で言い直す

理解深化方略とは、理解を深くするための工夫。文章の構造に注目して読む。

例）接続詞に注目して読む。

理解補償方略（部分理解方略）

コントロール方略

選択肢１

「文章中の出来事を図や表で整理する」のは、テキスト全体の内容を理解するためなので、

・分からないところはゆっくりと読む

内容理解方略です。

・どれくらい難しいかを判断して読むスピードを調節する

・分からなくなったら、どこから分からなくなったのかを考え、そこから読み直す。

選択肢２

・一度読んだだけでは理解できないときは、もう一回読んで理解しようとする

「段落ごとに、中心文と支持文を抜き出す」のは、文章の構造に注目した読み方なので、

・時々読み進むのをやめて、それまでに読んだ内容を思い出す

理解深化方略です。

・意味が分からないところや難しいところを繰り返し読む

中心文とは、そのパラグラフの中心となる文。トピック。英語でTopic sentence

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支持文とは、中心文を支える文。中心文を詳しく説明する文。英語でSupporting sentence

内容理解方略（内容学習方略）

問題）以下の文章のうち、中心文と支持文はどれですか？

要点把握方略

「猫は飼いやすい。家の中で飼えるし、散歩しなくていい。犬のようにうるさく

・コメントや内容をまとめたものを書き込む

吠えることもない。」

・段落ごとのまとめ（要約）を書く

中心文：猫は飼いやすい

・大切なところを書きぬく

支持文：家の中で飼えるし、散歩しなくていい。犬のようにうるさく吠えることもない。

・内容をまとめるために簡単な表や図を書く

・大切なところに線を引く

選択肢３

・読みながら大切なところとそうでないところを区別する

「わからなかった所に戻って読み直す」のは、理解できなかったところを補うための工夫なので、

理解補償方略です。

内容理解方略（内容学習方略）

記憶方略

選択肢４

・難しい言葉や内容は理解しないで丸暗記してしまう。

「調べる」のは読解の方略（読み方の工夫）ではありません。

・覚えるために繰り返し読む

・大切な文は考えずにそのまま覚えようとする

よって、答えは３

・大切な言葉を覚えようとする

内容理解方略（内容学習方略）

質問生成方略（モニタリング方略）

・自分がどのくらいわかっているかをチェックするような質問を自分でしながら読む

・読み終わってから、自分がどのくらい分かっているかチェックするような質問を自分にする

・知らない字や言葉を探して読む

・読みながら内容が正しいか考える

・先生ならどういう質問をするか考えながら読む

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理解深化方略

構造注目方略

・どことどこが対応しているかを考えながら読む

・接続詞（しかし、そして、つまりなど）に注目しながら読む。

・意味段落に分けて考える

・次にどういう内容がかかれているかを予想しながら読む

・文章の組み立て（構造）を考えながら読む

・題名を考える

・文脈から全体像を予測する

理解深化方略

既有知識活用方略

・既に知っていることと読んでいる内容を結び付けようとしながら読む

・自分が今まで知っていることと比べながら読む

・具体歴な例を挙げながら読む

・新しい言葉を覚えるために具体的な状況を思い浮かべる