試験T 問題9
日本語教育能力検定試験T問題9 【臨界期仮説とバイリンガル教育】
  モン1 臨界期リンカイキ仮説カセツ」の記述キジュツとして適当テキトウなものをエラ     不正解フセイカイ 【はま先生センセイ解説カイセツ
「ある年齢を過ぎると第二言語の習得が難しくなると言われている」
1 大人オトナ抽象的チュウショウテキ分析能力ブンセキノウリョク発達ハッタツしているため、第二言語ダイニゲンゴ自然シゼン習得シュウトク容易ヨウイである。 つまり、大人より子どもの方が習得しやすいということです。
2 第二言語ダイニゲンゴ習得シュウトク開始カイシする年齢ネンレイタカければタカいほど、最終的サイシュウテキ到達度トウタツドタカい。 ただし、語彙や文法が上級レベルになってくると、そもそも子どもの母語レベルでも足りなくなるので大人の方が有利になります。
3 大人オトナよりどものほうが、第二言語ダイニゲンゴ習得シュウトク初期段階ショキダンカイでは習得速度シュウトクソクドハヤい。 臨界期仮説とは、ある年齢(学者によるが、例えば12,3歳ごろ)を過ぎたら、母語話者並の言語能力の習得は難しいという仮説
4 第二言語習得ダイニゲンゴシュウトクテキした開始時期カイシジキ年齢ネンレイ)は音韻オンイン統語トウゴなどでそれぞれコトなる。 大人オトナホウどもより、第二ダイニ言語ゲンゴ習得シュウトク初期ショキ段階ダンカイでの習得シュウトクハヤい。
選択肢1 レネバーグの臨界期リンカイキ仮説カセツ        
「自然習得が容易」なのは大人より子どもだろうと経験で判断できます。 複数フクスウ臨界期リンカイキ仮説カセツ 発音ハツオン臨界期リンカイキは6サイ文法ブンポウはもっとオソいとされる。  
私が小学2年生のとき、家族で大阪に引っ越しました。 どものホウ習得シュウトクハヤいとされるが、      
私は学校1日目にして、家に帰ると大阪弁を使いだしたそうです。 上級ジョウキュウレベルの語彙ゴイ文法ブンポウ習得シュウトクどもの母語ボゴレベルがかず、大人オトナ有利ユウリ
初期段階ショキダンカイ習得シュウトクは、トク形態素ケイタイソ音韻オンインでは、大人オトナホウ子供コドモより習得シュウトクハヤ
選択肢2
これも明らかに違いますね。
選択肢3
大人と子どもの第二言語習得を比べると、学習のスピードや最終到達度に違いがあります。
なんでも子どもがすぐれているわけではなく、学習の初期段階、特に形態素や統語に関しては、大人の方が速いといわれています。
大人オトナホウどもより、第二ダイニ言語ゲンゴ習得シュウトク初期ショキ段階ダンカイでの習得シュウトクハヤい。
選択肢4
第二言語では、言語領域によって臨界期が異なるとも言われています。
たとえば、発音に関する臨界期は早く、6歳とも言われています。でも、文法はもっと遅いと考えられています。
よって、答えは4 赤本アカホンP339
  トイ2 バイリテラルの説明セツメイとして適当テキトウなものをエラ     正解セイカイ 問2【バイリンガルの種類】バイリテラルとは?
バイリテラルとは、「聞く」「読む」も「話す」「書く」も二言語ともに十分に発達していること。
1 く」「ハナす」「く」は一言語イチゲンゴで「む」はに言語ゲンゴ十分ジュウブン発達ハッタツしていること。 ガタバイリンガル
2 く」「む」も「ハナす」「く」も二言語ニゲンゴともに十分ジュウブン発達ハッタツしていること。 よって、答えは2
3 く」「ハナす」が二言語ニゲンゴでき、認知ニンチ行動コウドウ心情シンジョウメン文化ブンカ習得シュウトクしていること
4 く」が二言語ニゲンゴでき、認知ニンチ行動コウドウ心情シンジョウメン文化ブンカ習得シュウトクしていること。 ほかに、4技能(「聞く」「読む」「話す」「書く」)の観点からバイリンガルを整理した場合、
会話型バイリンガル
聴解型バイリンガルがあります。 赤本アカホンP347
言語ゲンゴ能力ノウリョク む 受容ジュヨウ ハナく 産出サンシュツ の4技能ギノウ
  トイ3 学習言語ガクシュウゲンゴは、言語ゲンゴテキ側面ソクメン認知的ニンチテキ側面ソクメンなどからるとするセツがある。   問3 認知的側面の構成要素とは?
    認知的側面ニンチテキソクメン構成要素コウセイヨウソではないものをエラ     不正解フセイカイ 学習言語は、言語的側面認知的側面などから成るとする説がある、と言われると、 メタ認知の定義            
メタ認知とは、「自分が物事を認知している状態を、客観的に認知している状態」を指します。
1 スピーチなどの場面バメンソクしたフォーマルな言語使用ゲンゴシヨウ むむむ、となりますが、その後にヒントがあります。 メタというのは「より高次の」という言葉で、認知とは、思考や知覚、行動のことをいいます。
2 教科書キョウカショなどの文章ブンショウ理解リカイ効果的コウカテキハタラ背景知識ハイケイチシキ 「その節目を説明する概念として、カミンズの学習言語能力(CALP)がある」これです。 つまり、現在自分自身が行っている行動や思考そのものを認知の対象として、  
3 ノートをとったり文章ブンショウ要約ヨウヤクしたりするためのメタ言語ゲンゴ認識ニンシキ 学習言語能力は生活言語能力よりも認知的な負担が大きくなるんでした。 自分自身を客観的に認識する能力をメタ認知能力とよびます。    
4 著者チョシャ見方ミカタ理解リカイして意図イトサグるなどの高次コウジ思考シコウ
「認知」という言葉は日本語教育能力検定試験によく出てきますので、理解しておいてください。
日本語教育能力検定試験で「認知」ときたら「頭を使ういろいろなこと」と言い換えれば大丈夫です。
例)認知能力→頭を使う能力
認知能力とは、知能検査で測れる能力。IQとか偏差値とか、脳を使ってするいろいろな能力。
例えば、日本人が英語で数学の授業を受ける場合、英語だけでも大変なのに、数学で頭を使うのでさらに大変になります。
学習言語の言語的側面とは、言語学習そのもの
学習言語の言語的側面の例)漢字や語彙を学習する。敬語の使い方を学習する。
学習言語の認知的側面とは、言語学習に付随する頭を使ういろいろなこと
学習言語の認知的側面の例)ドイツ語で書かれた医学書を読む際に必要になる医学の知識
選択肢1
「言語使用」と書かれていることからもわかりますね。「フォーマルな場面での言語の使い方」
 という言語そのものの学習なので、言語学習の言語的側面です。
選択肢2
「背景知識」は、言語学習そのものではなく、言語学習の際に役立つ背景知識なので、言語学習の認知的側面です。
選択肢3
「ノートを取ったり文章を要約したりする」のは、言語学習そのものではなく、言語学習を支えるスキルなので、言語学習の認知的側面です。
選択肢4
「著書の見方を理解して意図を探る」には、語彙を覚えたり文法を理解したりする言語学習そのものではなく、
 論理的に考えることが必要なので、言語学習の認知的側面です。
よって、答えは1
  トイ4 カミンズの学習言語能力ガクシュウゲンゴノウリョク(CALP)の適当テキトウ記述キジュツエラ   正解セイカイ カミンズの学習言語能力ときたら、セットで生活言語能力も覚えておきたいところです。
1 認知力ニンチリョク必要度ヒツヨウド」がヒクく、「場面バメン依存度イゾンド」がタカ言語活動ゲンゴカツドウができる。 学習言語能力は、「認知力必要度」が高く、「場面依存度」が低い言語活動ができます。
2 認知力ニンチリョク必要度ヒツヨウド」がヒクく、「場面バメン依存度イゾンド」もヒク言語活動ゲンゴカツドウができる。
3 認知力ニンチリョク必要度ヒツヨウド」がタカく、「場面バメン依存度イゾンド」がタカ言語活動ゲンゴカツドウができる。 よって、答えは4
4 認知力ニンチリョク必要度ヒツヨウド」がヒクく、「場面バメン依存度イゾンド」がヒク言語活動ゲンゴカツドウができる。
  トイ5 二言語ニゲンゴ基底キテイ共有節キョウユウセツカンする記述キジュツ適当テキトウなものをエラ   正解セイカイ カミンズの二言語基底共有説(氷山説)は、分離基底言語能力説(風船説)に対するものなのでセットで覚えておきたい。
分離基底言語能力説とは、風船説とも。
1 数学スウガクナド概念的ガイネンテキ知識チシキ学習ガクシュウストラテジーは、二言語ニゲンゴカン転移テンイする。 二言語基底共有説とは、氷山説とも。
2 第二言語ダイニゲンゴによる基本的キホンテキ対話タイワ能力ノウリョクは、2ネン程度テイド習得シュウトクできる。
3 二言語ニゲンゴ同等ドウトウ使ツカうためには、母語ボゴによる認知能力ニンチノウリョク発達ハッタツ必要ヒツヨウである。 選択肢1
4 二言語ニゲンゴ独立ドクリツして機能キノウし、アタマナカカギられたスペースでフタつが共存キョウゾンしている。 二言語基底共有説(氷山説)では、氷山の下の見えない部分は二言語間で共有している、転移すると考えます
共有キョウユウ転移テンイ
何が転移するかは問3の選択肢が分かりやすいです。
問3の選択肢1のような「フォーマルな言語使用」というのは、英語と日本語で違いますから、転移しません。氷山の上です。
一方で、問3の選択肢2〜4のような認知的側面
例えば「ノートを取ったり文章を要約したり」「著者の見方を理解して意図を探る」能力などは、英語でも日本語でも同じですね。
「数学等の概念知識」も日本語で勉強した数学の知識は、英語で数学するときも活かせますので、二言語間で転移します。
学習するときの工夫である「学習ストラテジー」も、二言語間で転移します。
例えば、わからないことがあれば辞書で調べるという工夫は、日本語でも英語でもやります。
選択肢2
「2年程度で習得できる」「基本的な対話能力」というのは、生活言語能力のこと
選択肢3
「二言語を同等に使うためには、母語による認知能力の発達が必要」というのは、
発達相互依存仮説のような考え方
二言語基底共有説というのは、「二言語を同等に使うため」の説ではなく、「二言語には共有している知識があるよね」という説
選択肢4
「二言語は独立して機能し、頭の中の限られたスペースで二つが共存している」というのは、風船説。