試験シケンⅠ　問題モンダイ8
日本語教育能力検定試験Ⅰ問題8 【異文化環境への適応】
　 問モン1　「カルチャーショップ」に関カンする記述キジュツとして適当テキトウなものを選エラべ 不正解フセイカイ 【はま先生センセイ解説カイセツ】
問１　カルチャーショックとは？
1 新アタラしい環境カンキョウや人間関係ニンゲンカンケイの中ナカで増幅ゾウフクされ続ツヅける カルチャー・ショックとは、異文化に触れた時、母国の文化との違いにショックを受けること。文化的衝撃とも。
2 自文化ジブンカとの差異サイを理解リカイでき、視野シヤが広ヒロがる段階ダンカイである。
3 慣ナれ親シタしんだ行動規範コウドウキハンを喪失ソウシツすることに起因キインする 選択肢１
4 他者タシャに対タイする優越感ユウエツカンや劣等感レットウカンによってもたらされる。 本文にも「カルチャー・ショックは、異文化適応過程の一部」と書かれているとおり、「増幅され続ける」ことはないです。
人って慣れますよね。
選択肢２
「自文化との差異を理解でき、視野が広がる段階」はカルチャーショックの後です。
選択肢３
例えば、日本でも土足で部屋に入ろうとして、日本では靴を脱ぐものだと言われます。
家の中でも靴を履いたままという「慣れ親しんだ行動規範」が日本では通用せず、「喪失」します。
母国でのやり方が通用せず、ショックを受けます。これがカルチャーショックです。
選択肢４
カルチャーショックは、「他者に対する優越感」ではなく、自文化と異文化の差によってもたらされます。
よって、答えは３
　 問トイ2　「Uカーブモデル」に関カンする記述キジュツとして適当テキトウなものを選エラべ 　 正解セイカイ Uカーブモデルとは？
Uカーブモデルとは、異文化に触れて、①異文化楽しい（Uの左）②異文化嫌になった（Uの底）②異文化慣れた（Uの右）、という気持ちの移り変わり。
1 異文化イブンカ適応テキオウを出国シュッコクから帰国キコクまでの精神的セイシンテキ満足度マンゾクドの変化ヘンカで説明セツメイしている
2 異文化適応イブンカテキオウを他者タシャへの配慮ハイリョと自分ジブンへの配慮ハイリョの2つの軸ジクで説明セツメイしている。 Uカーブモデル＝U字ジ型ガタ曲線キョクセンモデル
3 異文化適応イブンカテキオウと自文化ジブンカへの再サイ適応テキオウの二フタつの過程カテイを合アわせて説明セツメイしている。 ハネムーン期キ-不適応フテキオウ期キ-適応期テキオウキという分ワけ方カタもある。3段階ダンカイ
4 異文化イブンカ適応テキオウをストレス、適応テキオウ、成長セイチョウのダイナミクスであると説明セツメイしている。
リスガードの異文化イブンカ適応過程テキオウカテイ
ハネムーン期キ-ショック期キ-回復期カイフクキ-安定期アンテイキの4段階ダンカイとしている
選択肢１
Uカーブモデルは「精神的満足度」ではなく「異文化適応度」を示すものですよ！
と考えてこの選択肢を誤りとした人が多かったです。ええ、私です。
かといって他の選択肢のぴったりくるものがなく、悩みました。
試験後、「満足度」というキーワードを使っている本を探したところ
『新・はじめての日本語教育　基本用語事典　増補改訂版』p256の図１に出てきました。
縦軸が満足度 低→高
横軸が出国→帰国直前
となっています。まさに選択肢１のとおりです。
選択肢２
Uカーブモデルは「他者への配慮と自分への配慮」とは関係ありません。
選択肢３
異文化適応と自文化への再適応という二つの過程を合わせて説明しているのWカーブです。
Uカーブモデルは、Wカーブの左側のみ。異文化適応のみです。　Wカーブ仮説カセツ＝W自ジ曲線キョクセンモデル：ガラホーン
リエントリーショック＝逆ギャクカルチャーショック
Wカーブモデルも日本語教育能力検定試験でよく出題されますので要チェックです。
直近では、平成30年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題８問３で問われています。
選択肢４
異文化適応をストレス、適応、成長のダイナミクスであると説明しているのは、キムのらせん上図です。
　 問トイ3　自ジ文化ブンカ中心主義チュウシンシュギに関カンして、日本人ニホンジンが異文化イブンカに対タイして自文化ジブンカ中心式的チュウシンシキテキな見方ミカタを 自文化中心主義とは、自分の文化が正しくて、他の文化は間違っているとか、自分の文化が優れていて他の文化が劣っていると考えること。
　 　 している例レイはどれか、適切テキセツなものを選エラべ 　 　 正解セイカイ 対になる概念に文化相対主義があります。
文化相対主義とは、みんな違ってみんないい、です。文化の多様性を認めます。文化にはいろいろあって、そこに優劣はないということ。
1 手テで食事ショクジをするのを見ミて、食事ショクジのマナーに反ハンしている思オモう。
2 手テで食事ショクジをするのを見ミて、そうしたい人ヒトはそうすればいいと思オモう。 選択肢１
3 手テで食事ショクジをするのを見ミて、自分ジブンの国クニとは異コトなる文化ブンカだと思オモう。 手で食事するのはマナーに反しているというのは、自分の国の価値観で判断しているので、自文化中心主義的な見方です。
4 手テで食事ショクジをするのを見ミて、自分ジブンも同オナじようにまねすべきだと思オモう。
選択肢２
「そうしたい人はそうすればいい」と自分とは違うやり方も認めるのは、文化相対主義的な見方です。
選択肢３
「自分の国とは異なる文化だ」と認め、それが正しい正しくないという価値判断をしないのは文化相対主義的な見方です。
選択肢４
他の人の文化を自分のマネしなければと思うのは、他文化中心主義でしょうか。
フランスの文化は素晴らしい、それに比べて日本は劣っていると考える日本人でしょうか。
よって、答えは１
　 問トイ4　「文化的ブンカテキアイデンティティ」の説明セツメイとして適当テキトウなものを選エラべ 　 正解セイカイ 問４　文化的アイデンティティとは？
文化的アイデンティティとは、自分がどの文化に属しているか認識することです。
1 個人コジンの違チガいを超コえた国家コッカ、民族ミンゾクなどのパーソナリティーの特徴トクチョウの事コト ミックスの人や外国で育った人は文化的アイデンティティが揺らぐといいますね。自分は何人なんだと。
2 ある文化ブンカについて人々ヒトビトに共有キョウユウされ、社会全体シャカイゼンタイに普及フキュウした考カンガえの事コト
3 自分自身ジブンジシンがある文化ブンカに所属ショゾクしているという感覚カンカクあるいは意識イシキの事コト 選択肢１
4 信頼感シンライカンなどの心理的シンリテキ要因ヨウインにより自然シゼンに形成ケイセイされた集団内シュウダンナイの関係性カンケイセイのこと 「個人の違いを超えた国家、民族などのパーソナリティの特徴のこと」を国民性といいます。
選択肢２
「ある文化について人々に共有され、社会全体に普及した考えのこと」はステレオタイプでしょうか。
ステレオタイプの例
・西洋人は個人主義で日本人は集団主義だ
・ラテン系はノリがいい
・島時間（島の人は時間の感覚がゆっくり）
選択肢３
「自分自身がある文化に所属しているという感覚あるいは意識のこと」を文化的アイデンティティといいます。
ベネットが提唱した「異文化感受性発達モデル」
「異文化感受性発達モデル」の「感受性」というキーワードは「感覚あるいは意識」にぴったりです。
自文化中心主義から、文化相対主義への移行が基本的な筋道とされる。
このような過程においても、文化的アイデンティティに変化がもたらされる。
選択肢４
「信頼感などの心理的要因により自然に形成された集団内の関係性のこと」を何というのでしょうか。
文化的アイデンティティとは明らかに違います。
よって、答えは３
自文化ジブンカを保持ホジ
　 問トイ5　ベリーが提唱テイショウした分類法ブンルイホウに関カンして、「統合トウゴウ」の説明セツメイとして適当テキトウなものを選エラべ 周囲シュウイ 統合トウゴウ 分離ブンリ 周囲シュウイ 分離ブンリ＝離脱リダツ
　 　 　 　 　 　 　 　 正解セイカイ 関係カンケイ 関係カンケイ
は 同化ドウカ 周辺化シュウヘンカ は 周辺シュウヘン化カ＝境界化キョウカイカ
1 異文化イブンカを否定的ヒテイテキに捉トラえ、自文化ジブンカを守マモり陶酔トウスイする状態ジョウタイ。 良ヨい 悪ワルい
2 異文化イブンカを意識的イシキテキに排除ハイジョし、自文化ジブンカも意識下イシキカしない状態ジョウタイ。 自文化ジブンカ喪失ソウシツ
3 自文化ジブンカを顧カエリみず、異文化イブンカのすべてを取トり入イれようとする状態ジョウタイ
4 自文化ジブンカを保タモちながら、異文化イブンカも取トり入イれようとする状態ジョウタイ。 選択肢１
「異文化を否定的に捉え、自文化を守り陶酔する状態」は、分離（離脱）です。
平成30年度版の説明は「変化が最も小さく、自文化に閉じこもっている状態」
選択肢２
「異文化を意識的に排除し、自文化も意識化しない状態」は、周辺化（境界化）で
選択肢３
「自文化を顧みず、異文化の全てを取り入れようとする状態」は、同化です。
平成30年度版の説明は「文化的・心理的に異文化の受容が最も大きい状態」
選択肢４
「自分化を保ちながら、異文化も取り入れようとする状態」は、統合です。
平成30年度版の説明は「自文化を保ち、異文化も受け入れている状態」
よって、答えは４です。